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緩和ケア科での日々 [介護]

父が入院してから、もうすぐ2カ月が経とうとしています。

日々穏やかではあるものの、どんどん衰弱していく姿を見るのは辛いですが、姉と私は毎日仕事終わりに1時間~1時間半の面会を続けています。



父の状態がかなり悪いので、ようやく緩和ケア科(ホスピス)の先生と面談ができることになったのが、8/30。

午後半休をもらい病院へ向かうと、看護師さんから「吐血されたので、今処置室に入ってもらっています。緩和ケア科の先生との面談は後日で」と伝えられました。

姉と急いで処置室にいる父に会いに行き、その時の担当医である呼吸器科の先生と面談。

吐血は胃潰瘍か又は癌の転移によるものかもしれない。状態を確認するには内視鏡になるが、負担が大きいため断念し、止血処理のみとする。

貧血がすすんだ場合は輸血する可能性もあるが、身体の状態をみながらになる。

予断を許さない状態なので、個室に移り、面会時間はフリーにします…とのことでした。


入院当初より明らかに話す言葉が聞き取れなくなった父の傍に立ち、血で汚れた頬や顎をシートで拭いたり、話しかけたりしていると「これから緩和ケア科の先生と面談ができます」という連絡が入り、慌てて姉と緩和ケア科へ向かいました。


当初面談の予定だった先生とは違う先生でしたが、大変穏やかで優しい雰囲気の先生で、緩和ケア科の説明と、父や私たちの意思を何度も確認してくださいました。

積極的な治療はせず、痛みや辛さを軽減することに注力すること。もし危ない状態になっても、心臓マッサージなど延命処置はしないので、家族の到着を待たず亡くなるかもしれないこと等々…


私たちは、勉強好きな父が色々な本を読んで延命治療についてもよく理解し、納得していることや、家族もそれについて承知していることをお伝えしました。



全室個室なので好きな音楽を聞いてもいいこと、飲食ができる状態であれば、好きなものを食べたり飲んだりして良く、アルコールもOKとのことでした。

お酒、とりわけビールが大好きな父に、ノンアルコールでもいいので飲ませてあげたいと思っていた姉と私は大喜びしました。


面談の後、父の病室に戻ると強い痛みを訴えており、モルヒネが投与されることになりました。

そして4日後の9/3には晴れて緩和ケア科へ移ることになり、父の身体に付けられた沢山のチューブの数が減りました。


9月上旬までは、しゃっくりがなかなか止まらず(しゃっくり止めの点滴をしているのですが)、父は何か言ってくれるものの声が出ず、言葉も殆ど聞き取れなくなっていました。

CDデッキを持参し、好きな音楽を聞かせようとしても「いらない」と手で示し、テレビも窓からの景色も楽しむことなく、ただひたすらベッドで目を閉じていました。

9月中旬以降は、動くことも話すこともできなくなり、目を開けることも少なくなりました。

先生によると、詳しい検査は負担が大きいために出来ないけれど、恐らく癌が脳に転移している可能性が高いとのこと。

私たちは毎夕面会に病院を訪れ、父の好きだったCDをかけ、新聞を読み聞かせ、爪切りや耳掃除などのケアをし、状態が良さそうならビールやお酒を少しずつ口腔用スポンジで口の中に塗っています。


緩和ケア科には様々な症状の人がおられ、食事をしたり、テレビを見たり、思い思いに過ごしておられる患者さんの姿を見かけます。

父の状態との、あまりの違いに「父もこんな時間が持てたら」と思ったこともありますが、「ぎりぎりまで自宅に居られて、好きなものを食べたり飲んだりできていた」と考えれば、少しは自分を納得させることができるようになりました。


先生によると、かなり重篤な状態なので細かく目を配り、点滴での投薬もその都度変えているため、他の病院や在宅での診療での対応を難しい。転院も考慮せず、最後までこの病院でお世話させてもらいます、とのことでした。

先生も看護師さんも、本当に親切で丁寧にケアしてくださり、ありがたいなと姉と話しています。



毎日帰宅が21時頃になり、疲れていないといえば嘘になりますが、少しでも父と過ごせる時間を大切にしたいと思って暮らしています。

(先日は父の手を持ち上げて『セルフよしよし』をしてもらいました♪)


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simarisu

サキヲさんお疲れ様です。
お父様のことが気になっていました。
ご報告を拝読して私も母の時のことを思い出していました。
痛みなど強いとご本人はお辛いでしょうね。
緩和ケアで好きなことができる状況でも食欲がなかったり痛みがあったりでは難しいですね。
お仕事もお忙しいのでどうかサキヲさんやお姉様もご自身の体調を崩されませんようご自愛ください。
どうぞお大事になさってください。
by simarisu (2024-10-16 18:09) 

オリオン

緩和ケア科で思い思いに過ごせる時間を、お父様はご自宅で過ごすことができたのですから、お父様にとってはそれが一番だったんじゃないでしょうか。
細かく丁寧なケアをなさる病院で過ごされること、なによりです。
サキヲさんもお姉さまもどうぞご自愛くださいますよう、お父様が少しでも穏やかに過ごせますよう、お祈りしております。
by オリオン (2024-10-17 16:19) 

サキヲ

☆simarisuさま☆
お返事が遅くなり、申し訳ありません。
この記事をアップしてすぐ、父は亡くなってしまいましたが、入院していた2カ月間は姉も私も必死になっていて、自分の家のことの記憶が朧気にしか思い出せません…(^^;)
会社から年末調整の用紙を出せと言われて、書類を探すのに苦労しています。
by サキヲ (2024-11-29 12:55) 

サキヲ

☆オリオンさま☆
お返事が遅くなり、申し訳ありません。
そうですよね、食欲のある時には、夕食に好きなお刺身や煮物を食べ、お酒を飲んで過ごしていましたので、それで良かったのかもしれません。
日が経つにつれ、そういう思いが強くなっています。
by サキヲ (2024-11-29 13:00) 

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