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ありがとう安宅屋飯店 [へんな京都案内]

大好きなお店が、11月25日に閉店しました。


ギョーザ.png


西大路太子道にあった中華料理店『安宅屋飯店』。

私がお世話になっていたダイビングショップの近くにあったお店で、ツアーの帰りにはいつも皆で立ち寄ってご飯を食べていました。

通いはじめて15年近くになるでしょうか。



ショップがツアーを辞め、ダイビング関係のネットショップになった後も、友達・会社の同僚・家族とご飯を食べに度々訪れていました。


お世辞にも綺麗とはいえないお店でしたが、おっちゃん(店の大将)が何ともファンキーな人で、料理の腕前はピカイチのくせに、少しでも隙があれば店内のテレビを見ようとします。

「おっちゃん、焼き飯~!」と注文すると、「誰か他に焼き飯いらんかー?」と他のお客さんに猛アピール。「まとめて作らなめんどくさいやんけ」と言ってのけます。そのくせ「大量に作ったら美味ないねん」とか言うし。



ある時などは「チャンポン麺ちょーだい」と言うと「今日はやめとけ。美味ないで」と、まさかのオーダー拒否?

「自分でわかるねん。今日はあかん。ラーメンにしとけ。」だそうで、店内爆笑。「自分で言うたらあかん!」「誰がその差わかるねん!」と総ツッコミが入りました。


ラーメン.png


たまたま私の誕生日近くの日のダイビングツアーに参加した後、いつものようにお店でご飯を食べていたら、ショップの方がケーキをお店の冷蔵庫に隠してくれていて、店内でまさかの「おめでとう」コール。


誕生日ケーキ.png


おっちゃんは、他のお客さんもいるのに、「ローソク点けるんやったら電気消したるわ」。

「他の人に迷惑やし、いいって!」と言いましたが「そんなん気にする奴、この店に来いひん」と、いきなり消灯。


暗くしてもらった.png


他のお客さんを巻き込んでの「ハッピーバースディ♪」の大合唱の中、チャッカマンで点けたローソクの火を吹き消す私。


お店にいた人全員でケーキを分けて食べ、忘れられない誕生日となりました。






店内には大きなアクリル製のメニュー看板が掛けてあったのですが、長年の油で汚れたからと拭いたところ、なんと文字が消えてしまい、急遽料理名を印刷した紙を貼って凌いでいたり(結局最後まで紙のままだった)。

字が消えた.png


シャッターには「定休日 木曜日」って書いてあるのに、実は「水曜定休」なところもステキ。


ごはんの支度をしなくていい時には、ひとりカウンターで瓶ビールと鶏天を食べたことも度々ありました。


「疲れた顔しとんなあ。ニンニク焼いたろ」と、店内のストーブで剥いたニンニクを焼いてくれたことも。


帰りには必ず「サンキュー。サンキューなー。」という、おっちゃんの声で送り出してくれました。





…そう、私にとっては、この上なく魅力的で思い出いっぱいのお店だったのです。



友達から「今日で閉店する!」という悲痛なメールが届いた時は、もう既に夕方でした。すぐには理解できずに、メールの文面を何度も見直しました。

もともと地盤が緩い土地だったそうで、お隣さんが建て替えをすることが決まり、店が倒壊する危険があるということで、ほんの一週間前に閉店を決めたそうです。




閉店の2~3日前からは、情報を知ったお客さんが殺到し、入店もテイクアウトも難しい状態だと知りました。


もう二度とおっちゃんの料理が食べられないことはわかっていましたが、閉店時間が迫る中、せめて挨拶くらいはしておこうと、家にあったお菓子を掴んでおとーちゃんと二人でお店に急ぎました。



忙しそうにお鍋を振るおっちゃんに、簡単に挨拶するしかできなかったのですが、なんとか気持ちを伝えたくて、翌日会社の昼休みを利用して、店内の写真やら料理の写真やら、果てはおっちゃんの写真に私たちの写真までをA4の紙に『てんこ盛り』にコラージュして、「ありがとう」メッセージを書いた寄せ書き風のお礼状を作り封筒に入れ、閉店の貼り紙があるシャッターに貼り付けました。どうかおっちゃんが見てくれますように…


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大好きな、大好きな、安宅屋飯店。沢山の楽しい思い出をありがとう。





【追記】

今日、健康診断で病院に行った帰りにお店の前を通ったら、トラックが停まっていてお店の解体が始まっていました。

中を覗くと、おっちゃんがいた!


「おう、手紙ありがとうな」と言われ、ちゃんと見てくれたんだと安堵しました。


最後におっちゃんから握手してくれて、涙腺が緩みかけました。


もう絶対、こんな素敵なお店には出会えないよね…おっちゃん、本当にありがとう。




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