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片側顔面痙攣闘病記~退院まで・その1~ [闘病]

【入院4日目・木曜日】 

ようやく朝が訪れ、M先生の回診。身体のコードやチューブを外してもらい、処置室のベッドから病室のベッドへ移動しようとしたが、起き上がると頭にガーンという強い痛みがある。「髄液が減ったことによる起立性の頭痛でしょう。たくさん水分を摂ってくださいね」と、M先生。そういえば、点滴以外の水分補給をしていないことに気づいた。

結局ベッドへの移動は、3人がかりで持ち上げてもらうことになったが、その際に手術着がはだけて、大変見苦しい姿をお見せしてしまった。焦った病人の俊敏な動きで、ほんの一瞬で隠せたが…ホントは元気なんだろうと疑われたかな…[たらーっ(汗)]

その後ベッドを押してもらってナースセンター横の個室へ入った。「N先生の指示なので、今日は個室料は不要」らしい。N先生、ありがとう…[揺れるハート]

窓から明るい光が入って気持ちがいい。4人部屋では廊下側だったので、病室から出ないと景色が見えなかった。外が見えるのと見えないのとでは、こんなにも気分が違うんだ~[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]

ゆっくりと時間をかけて身体を起こしパジャマに着替え、部屋の中を歩き、顔を洗い、歯磨きをし、水を飲んだ。普通の事ができるってありがたい…[もうやだ~(悲しい顔)]

洗面所の鏡を見ると、おでこに血の滲んだバンドエイドが貼りついていた。手術台の上では、身体を真横にした状態で頭を器具で固定するため、その際に擦れて傷が出来るらしい。

後頭部は自分で見えないので、患部付近をあちこち触ってみた。すると、指先がバンドエイドに触れた。元は後頭部のどこかに貼ってあったのだろうが、今は髪の毛に絡まっていて、皮膚には全く接していなかった。注意深く剥がすと、これにも血の痕がついていた。何気なく耳を触ると、今度は耳の中から血の塊(乾燥してカリカリしていた)が出た。うわ~、ホントに手術したんだ~…痛みが少ないせいかイマイチ実感が伴わないが、やはり頭は切られているようだ。(そりゃそうだろ[パンチ]

この日は昼食と夕食が出たが、どちらも「お粥」ではなく「ちゃんとしたご飯」だった。

午後に両親、夕方には夫がお見舞いに来てくれた。個室なので、ゆっくり話せた。夜のお手洗いも、何の遠慮もなく行ける。テルモちゃん連れでもへっちゃらだ。個室バンザイ。

 

【入院5日目・金曜日】

入院中であっても、できればご飯は美味しくいただきたい。

しかし、この日の朝

 

おかずが…    私の苦手な鶏の肝を煮たものだった[ふらふら]

 

殆ど嫌いなものがない私だが、唯一内臓系が苦手である。

入院時に、食べ物の好き嫌いを訊かれたが、「まさか病院でホルモン系は出ないだろう」と思って「特にありません」と答えていたのだが…

「ひょっとしたら肝とは違うかもしれない」と僅かな望みを持って口に入れてみた

…が、正真正銘の肝だった[バッド(下向き矢印)]

 

だめだ。

やばい[あせあせ(飛び散る汗)]食べるものがない[あせあせ(飛び散る汗)]

 

「そうだ、ご飯がある[ひらめき]」と思った。しかし、入院した時点でわかっていたことだが、この病院のご飯は「とても柔らかい」。

かためのご飯が好きな私には致命的である。

少量のほうれん草のお浸しが付いていたが、それもすぐに尽きた。

入院以来、看護師さんの質問に常に「健康的」な返事をしていたのが、ここにきて絶たれてしまった。

「お通じは?」 「はい、今朝ありました」

「お食事は?」 「はい、全部いただきました」

…朝食後、看護師さんに「1/3くらい食べました」と言うと、「術後だからしんどいよね」と優しく声をかけてもらったが、

「いやいや、そうじゃないねん…」と心の中で呟いた私である。

「出されたものは残さず食べる」という揺るぎのない信念が、いとも簡単にポッキリと折れてしまったようで無念だった。

 

悲しんでばかりはいられないので、夫に「秘密兵器のふりかけを持ってきてください」とメールをした。

これで必ずや事態は改善されるであろう。

 

この日の昼頃、急に「ボコッ」と音がして、右耳の奥が塞がる感覚がした。プールで耳に水が入った時のような、そんな感じ。先生に伝えると、「頭蓋骨に穴を開けると、どうしても耳の後ろの空洞になっている部分まで一緒に開いてしまうので、その部分に水が入ったんでしょう。時間はかかるかもしれませんが徐々に良くなると思います」という返事だった。

この日から、点滴がテルモちゃん無しになり、のみぐすりが処方された。(テルネリン錠1㎎・メチコバール錠250μg・ガスターD錠20㎎・ナボールSRカプセル37.5・25㎎アリナミンF糖衣錠)

病室にリハビリ担当の先生が来られ、運動機能と顔面マッサージのやり方を教えてもらった。運動機能に問題はないので、週明けからリハビリルームに来てください、ということだった。

 

【入院6日目・土曜日】

朝、5:33少し前になんとなく目覚めて上半身を起こすと、ベッドが揺れた。地震だった。点滴が滑っていかないように手で掴み、揺れが収まるのを待った。

すぐに看護師さんが「大丈夫ですか~?」と様子を見に来てくださった。メールで家族間の安全を確認。

 

朝食後、荷物を持って元の4人部屋へ移動した。骨おばさんは私が手術をした日に退院していて、新しく癌患者のBさんが入院されていた。Tさんの咳は多少軽減しているようだが、やはり起き上がることは困難な様子だった。

昼までの間に日課となっているガーゼ交換。M先生が「ちょっとずつでは痛いですからね」といつもの言い訳しつつ、情け容赦なくベリッと一気にテープを剥がす。「ぎゃ~[exclamation×2]」と叫ぶオバハン。「はっはっは…」と笑うM先生。「痛ったぁ~い…[たらーっ(汗)]」と言っている私を面白そうに見る先生は、ドSかもしれない、と思った。

いつもは土曜か日曜、どちらかしか休みでないのに、何故かこの時を狙ったかのように「土日2連休」の夫が、昼過ぎに「ふりかけを持って」お見舞いに来てくれた。感謝。

 

残りは一話にまとめますから…あと一回【つづく】

 

 


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コメント 13

simarisu

術後の様子、情景が浮かんでくるようです。
早朝の地震もありましたねえ。本当にお疲れ様でした。
サキヲさんにも苦手な食べ物がおありだったんですね。
私は鶏肉全部ダメなんで、病院食はかなり厳しいと思います。
骨おばさんは退院されていたんですね。どんな感じで去っていかはったんでしょうね。
by simarisu (2013-06-04 23:06) 

オリオン

手術の翌日から普通食なんですね。
内蔵系の手術ではないにしても早いんですね。
それだけに食事は美味しく頂きたい…。
でも病院食で鶏の肝って意外ですね。
内蔵系は苦手な人も結構いると思うので、一般的ではないような…。
骨おばさん、無事に退院なされてよかったです(笑)。
by オリオン (2013-06-05 00:46) 

サキヲ

☆simarisuさま☆
私も若い頃は、鶏肉は「ささみ」くらいしか食べられませんでした。でも、オットが「お肉好き」だったので、焼き鳥とか連れて行かれているうちに食べられるようになりました。
こっちも、オットを野菜好きに変えてやりましたが…(^^)

☆オリオンさま☆
手術後は「お粥」だと思い込んでいたので、意外でした。
昼と夜は、2種類から選べるんですが、朝は入院時に「パン食かごはんか」を訊かれ、それ以上は選べないんですよね~。
そして、まさかの肝!…「ええ~?!そうくるか?!」って感じでした。
骨おばさんは、とても元気で(もともと元気な人なんでしょうが)退院されたそうですよ…(笑)
by サキヲ (2013-06-05 13:04) 

ポートス

やっぱり手術の後って大変ですね。
サキヲさんがあまりに文章がうまいので、
いろいろ想像してしまいました。

でもやっぱり入院中の楽しみといえば食事ですよね。
できれば嫌いなものは食べたくないものですよね。
私は牛乳さえでなければ多分殆どOKだと思います。
それにしても、私も病院食で内臓系が出るとは、
思いませんでいた。
by ポートス (2013-06-11 23:52) 

さき

初めましてこんにちは。(^^)
私も顔面痙攣を患っている者です。
いまはボトックス注射で誤魔化し治療していますが、ブログ拝見した中での、顔の違和感、私も感じてまして手術しようか悩んでいます、、(>_<)
年齢が今年23歳で4月から社会人になったばっかりなのですが、接客業のため仕事は楽しいのに笑顔になるのが怖く感じてます。

手術しようかなと悩んで検索してるところにサキヲさんのブログ見つけまして、コメントしちゃいました。(((^^;)
よかったら少しお話お伺いしてもよろしいでしょうか(x_x)
いきなりで、すみません(*_*)
by さき (2013-06-15 12:17) 

サキヲ

☆ポートス母さま☆
病院食なので、基本「塩分少なめ」なんですが、「味噌ラーメン」っていうメニューの日もありました。癌患者さんには、なるべく食がすすむように、私たちが食べるメニューの他に、がっつり系の「オムライス」「カツサンド」や、あっさり系の「お茶漬け」など、更に色々と選べたようです。
ポートス母さんは牛乳がお嫌いなんですか~。スイーツなども色々作られるので、ちょっと意外でした。。。

☆さきさま☆
こんにちは、はじめまして♪
お若いのに、同じ症状で悩んでいらっしゃるんですね、お辛いでしょう…
私はさきさんの倍ほど年をとっているおばちゃんですが、私でお答えできることであれば何なりと♪

by サキヲ (2013-06-15 18:24) 

さき

お返事ありがとうございます!(;o;)

年齢的にも、これから頑張って
いかなくちゃいけないのに、
ほんとに情けないのと、すごく
悔しい思いでいっぱいです、、

やからこそ治したくて。。
思いきって手術にかけてみようと
思ってるんです、実は。
今月上旬にボトックス注射してまして
効きすぎなのか笑えないんですよね。
今担当の先生曰く、治るって
言うんです。ボトックス注射で。
耳鳴りもしてて聴こえにくくなってて
それでも治るって。3月に打って
痙攣とまらなくて、それで6月に
打ったのですが、ほんとに治るのか
怪しくて聞いてみても、治る!
しか、いってくれないんです。。
違う病院に、いって診察して
もらうべきなのかも、迷ってます。

この病気、ボトックス注射では
治らないですよね?
なんか耳鳴りの話もろくに
聞いてもらえず、頭痛の話も
聞いてもらえず、、
注射したら次の日、顔腫れて
アザになってるし、、
どこの病院も、そんな風な
対応なのですかね??(;o;)
ほんとに治したくて仕方ないん
ですよ、、(;o;)
文章めちゃくちゃで
申し訳ないです、、(*_*)
by さき (2013-06-16 00:28) 

サキヲ

☆さきさま☆
私はお医者さまではないので、あくまでも素人の推測だと思って読んでくださいね。

まず、おかかりになっている病院は、脳神経外科でしょうか?
さきさんの症状が片側顔面痙攣だとした場合、根治治療は開頭手術しかないそうです。もちろん症状や体質は人によって様々ですから、中にはボトックス注射で治る方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですから、先生が仰る「治る」は、「一時的に痙攣を抑えることができる」又は「注射で治る場合もある」という意味なのかもしれません。
執刀医のN先生曰く、「ボトックス注射は、量を加減するのが難しいです。少なすぎても効かないし、多すぎると顔がつっぱったり、垂れ下がったりします。」ということなので、さきさんが注射をされた薬の量が適正ではなかった可能性もあります。

今おかかりの先生に少しでも不信感があるのであれば、病院を変えられた方がいいと思います。時間がかかっても、患者の声に耳を傾け、丁寧に説明して下さる先生でないと、(手術するにしても)大切な自分の頭を預けるなんて、到底できないでしょう?
私は耳鳴りや頭痛はなかったのですが、色々な症状が出ているのであれば、なおさら信頼できる施設で、しっかりと検査をされた方がいいと思います。
私はたまたま、術後の経過も驚くほど順調ですので、手術をして良かったと思っていますが、それも人によって感じ方は様々ですから、手放しで「手術をした方がいいですよ」と言うつもりはありません。でも、さきさんはお若いですし、これから先のことを考えると、手術は選択肢のひとつだと思います。(ボトックス注射を続けると、麻痺が残りますからね…)
まずは、信頼できる脳神経外科で、きちんとした説明を受けられることが必要ではないでしょうか。

by サキヲ (2013-06-16 12:50) 

さき

ご丁寧にありがとうございます!

今かかってるのは神経内科なんです。
ボトックスも、若いし、顔可愛いから大丈夫!などいって、すごく頬っぺたがひきつっているのにも関わらず、誤魔化されたりしました。
耳鳴りや頭痛も聞いてみたら、関係ないって言われてそのまま、、。
面倒くさそうな感じの受け答えされ、正直不信感はあります。
なので一度、外科のほうに行ってみたいと思います!

手術するのはたしかにリスクもあって不安ではありますが、上司に相談したら、休むのは休んで手術受けてくれていい、と言って頂いたため、まずは病院を変えて治療していきます!(;o;)

手術後、体調も大丈夫なんですね!(*^^*)
ボトックスすると顔が腫れて外に出たくなくなる為、手術後の大変さも受け入れた上で、手術することを前提に、探してみます。
文章めちゃくちゃなのにお返事ありがとうございました!(;´д`)
また進展あれば報告かねてコメントさして下さい!(;o;)!
by さき (2013-06-16 14:21) 

サキヲ

☆さきさま☆
「外科」ではなく、「脳神経外科」がある病院を検索されて、受診されることをおすすめします。MRIの検査なども必要になると思いますが、頭痛や耳鳴りの原因もはっきりするかもしれませんし…(脳に腫瘍があっても、顔面に痙攣の症状が出ることもある、と最初にかかった先生もN先生も仰ってました。)
一日も早く、さきさんが回復されることをお祈りしています。


by サキヲ (2013-06-16 14:32) 

パピ

サキヲさん、はじめまして。顔面痙攣の検索から
こちらにおじゃましました。
私はサキヲさんと同年代の顔面痙攣患者です。
この秋に手術を予定しております。
入院は出産以来はじめてで、今からいろいろ
緊張しています^^;;

手術の成功、おめでとうございます!!!術後の苦しみもあまりなかったそうでほんとうによかったですね。

ブログの記事、たいへん参考になりました。
ありがとうございます。少し教えていただいてよいですか。
病院に持参する着替えですが、
下着やパジャマ、洋服など、やはり頭の手術後なので、
かぶり式ではなく前開きの方が何かと都合がいいですか?

by パピ (2013-06-18 20:44) 

サキヲ

☆パピさま☆
はじめまして、コメントありがとうございます。
手術を秋に控えておられるとの事、今はまだ大変な思いをしていらっしゃるんですね。お大事になさってください…

ご質問の件ですが、パジャマは「前開きのもの」という病院の指定でした。手術後は、頭にガーゼが付いたまま過ごさなければいけませんので、前開きが便利です。ブラは、ずっとしていませんでした…(^^;) 退院時には、抜糸してガーゼも外していたので、普通のTシャツを着ましたが、何ともなかったですよ。

色々と不安がおありかと思いますが、手術がうまくいくことを心よりお祈りしています。
by サキヲ (2013-06-19 12:50) 

パピ

サキヲさん、お返事ありがとうございました。

やはり前開きがよいのですね!
ブラもどうするものか考えていました。

手術のこと、祈っていただいて
ありがとうございます!

がんばります!!

by パピ (2013-06-21 11:22) 

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